ACC体験記 FILE023=ランママさん

<原発部位>口腔底

<ニックネーム>ランママ

<性別>女性

<罹患年齢>35歳 (2017.07現在38歳)

<住まい>大阪

<病院>大阪国際がんセンター

<体験記>

平成25年6月

口腔底にあるデキモノに気がつきがつきましたが、この時、痛みはありませんでした。

近所の耳鼻科を受診した結果、唾液腺がつまっているのでは?と、いうことで、総合病院の耳鼻科を紹介されました。

当時妊娠8ヶ月であり、積極的な検査はできないと言われ、診察とMRIの結果3センチの多形腺腫という良性の腫瘍と診断を受けました。

「いずれ摘出術をうけた方がよいが、良性であり急いで治療の必要はないです。妊娠中であり、産後子どもがある程度大きくなってから手術しましょう」と説明を受けました。

その後、半年に一度くらいの間隔で診察を受け様子をみていました。


平成28年10月

前の医師が定年で退職され主治医が変わりました。

新しい主治医に一度詳しく検査を受けるように言われ、生検と再度MRI検査を受けた結果、腫瘍の大きさは2センチ程に縮小してるが「腺様嚢胞癌(ACC)」と診断され、大阪成人病センター(大阪国際がんセンター)を紹介されました。


平成28年11月

大阪成人病センターを受診。

手術の必要があると説明されました。

再度詳しく調べることになり行ったPET検査では肺に小さな影があることがわかりました。

気管支鏡の検査も受けましたが検査の途中で酸素濃度が下り生検は出来ませんでした。


平成28年12月

手術の後遺症によるADL低下を心配した主人のすすめで、他の病院を受診することにしました。

ADL(Activities of Daily Living)
一般的には『日常生活動作』と訳されます。 日常生活を営む上で、普通におこなっている行為、行動のことです。 具体的には、食事や排泄、整容、移動、入浴等の基本的な行動をさします。


兵庫県 粒子線センター受診

「腫瘍の場所が顎にとても近い。粒子線では骨の壊死をおこす恐れがある。場所的に手術の方が後遺症が少ないだろう。また粒子線は一度しかうけれないため、手術して再発した時のためにおいておいた方がいいのではないか」


横浜 新百合ケ丘病院 放射線治療科(サイバーナイフ)受診

「術後の後遺症によるADL低下を考えるとサイバーナイフでもいいのではないか。たとえ手術をしても腺様嚢胞癌(ACC)はおそらく再発または転移するだろう」


横浜 新百合ケ丘病院 耳鼻科受診

「手術の方がいい。手術で取りやすい場所にある。サイバーナイフの副作用もそんなに軽いものではない」


大阪府立大学病院 放射線科受診

「当大学では腺様嚢胞癌(ACC)に対してサイバーナイフの治療は例がない。できるなら手術が一般的。それでも放射線を希望するなら、カテーテルを舌に固定してそこから放射線をあてる治療の方が放射される部位が狭くサイバーナイフより副作用は少ないかもしれない」


いろいろな病院を受診し、治療方法に対してとても悩みました。

私はとても怖がりの性格で、手術への恐怖と、残るかもしれない後遺症を考えるとなかなか決断ができませんでした。

放射線やサイバーナイフでは手術では出来る術中迅速検査や術後の組織細胞の検査ができないため、実際に腫瘍がどの程度広がっているのかわからない点や、取りきれるのかという不安がありました。

たくさん悩んだ結果、手術できるものなら切った方がいいということ、いろんな質問に丁寧に答えてくださり他の治療と迷ってる私に選択肢を狭めることなく気長に相談にのってくださった大阪成人病センターの先生を信頼するようになり、手術を決断しました。


平成29年1月13日

手術を受けました。

口腔底と舌の一部の切除。組織細胞検査の結果、摘出した部位の断端は陰性。周りのリンパ節などへの転移はありませんでした。

口腔底の皮弁の端が術後1週間くらいでめくれて一部壊死を起こし、歯茎が根本までむき出しになりましたが、月単位にはなるがいずれ粘膜はできるはずとのことで安心しました。


平成29年2月13日

肺の影に対して気管支鏡で生検ができなかったため、手術にて組織細胞検査をしました。

その結果、腺様嚢胞癌(ACC)の転移と診断されました。


退院後の生活と気持ち

退院して嬉しい気持ちもあるけど、3人の子どもの世話や家事をするにも体力がついてきませんでした。

食べるのも時間がかかるため、入院中は食べれていましたが家では忙しくて同じようには出来ませんでした。

買い物や子どもの幼稚園の迎えに出るのも人目が気になりました。

人前でうまく喋れないのも気になりました。

でも、入院中周りの人にたくさん迷惑や心配かけたのでしんどいって言えませんでした。

1日も早く元の生活に戻りたい、元気になったねって言われたいと焦る気持ちが強かったのです。

今後、転移がどうやって広がるんだろう、いつまで元気でいれるんやろうって考えると不安でたまらなくなっていました。

急に涙が溢れたり、なんでもない家事の段取りがうまく考えられずにいつまでも終わらなかったりしました。

その時はわかりませんでしたが、今思い返すと気持ちのバランスが崩れていたと思います。


現 在(2017年7月)

月に一度の診察で術後の傷の経過観察をしています。

術後CT検査を平成29年7月5日に受けましたが、その結果新たな転移や再発はありませんでした。

少しだけしゃべりにくさはありますが、意識すれば「ら行」以外は普通に発音出来ます。

硬いもの大きいものは難しいですが普通食を摂取できます。

はじめの診察から治療開始するまでの3年間にMRI検査上で腫瘍に1センチほどの縮小が見られました。

なぜ縮小したのか、原因はわかりません。

ただ、いろいろ受診した病院の中のひとりの医師に「なんらかの理由で自己免疫力があがり、腫瘍を異物と認識して攻撃したのでは?」と言われました。医学的な根拠があるわけではないお話しですが、この先生からの言葉はとても嬉しく胸に残りました。

この3年間、自分の生活で変わったことは、ランニングと出産です。

ランニングがいいのかはわかりませんが、体温もあがるし、かなりのストレス発散になったと思っていますので「きっとよかったのだ!」っと信じて今は少しづつ走る練習をしています。


それと、もうひとつ先生に言われたことがあります。


「いずれこの病気に効く抗癌剤が必ずできる。それまでがんばりなさい」って。

それまで、、、体力をつけてがんはろうと思います。


いろいろ治療法には悩みまくりしんどかったし、正解かは分からないですが、とことん悩むことで納得行く治療を選べたと思います。


今は手術してよかったと思っています。


2017年7月12日UP

TEAM ACC

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