ACC体験記 FILE020=じぶりんさん
<原発部位>耳下腺(右)
<STAGE>Ⅲ
<ニックネーム>じぶりん
<性別>男
<罹患年齢>48歳
<住まい>神奈川県
<治療>2014年6月右耳下腺全摘
7月~9月放射線治療
<病院>昭和大学病院
<現状>2016年8月肺、骨転移発覚。
3か月毎に単純CT検査にて経過観察中
(直近は2017年5月)。
直近の検査で腫瘍の拡大等が見られなかったため、
次回は3か月以上検査の間隔を空けるとのこと。
<体験記>
▼2000年7月
右あごのあたりにしこりのようなものを感じ、整形外科を受診。レントゲン検査の結果特に異常なしとのことで放置。
▼2001年4月
再びしこりが気になり始め、某大学病院耳鼻科を受診。レントゲン検査で影が写ったため、CT検査を受ける。結果は「親知らずの影が写った。心配ない」とのこと。一安心し、その後長期に渡って放置することに(これが運命の分かれ目だったか…)。
▼2011年2月
職場の階段で転倒。顔面をしたたかに打ち付け、右目眼窩低を骨折し、昭和大学東病院眼科にて手術を受ける。手術後右顔面に麻痺が残る。この麻痺がなかなか取れなかったため、3か月後同病院眼科を再受診。しかし「時間経過とともに麻痺は治まる」と言われ、この後も放置することに(今思えば、耳下腺腫瘍の仕業だった…)。
▼2012年11月
口角のバランスが崩れていることに写真を見て、気付く。おかしいとは思ったが、まさか耳下腺腫瘍の影響とは思わなかったので、ここでも放置。
▼2013年10月~2014年4月
顔面麻痺はいつまで経っても良くならず、口角のバランスも崩れたままだったので、2013年10月昭和大学東病院眼科を再々受診。そこから同病院神経内科に回され、脳のCTを撮る。脳に特に異常はなかっため、Drも詳しい原因は分からず、2011年2月の顔面殴打による後遺症ではないかと診断を受ける。その時は一旦納得し、また放置をしたが願わくば顔面麻痺を何とかしたいという思いが捨てきれず、2014年2月昭和大学東病院神経内科を再受診。そこから昭和大学病院脳神経外科に回され、CT、MRI検査を繰り返す。しかしそれでも脳に異常は見つからず。
▼2014年5月
上記脳神経外科のDrから「念のため耳鼻科で診てもらってはどうか?」との紹介を受け、昭和大学病院耳鼻科を受診。即日問診にて右の耳下腺の腫れを指摘され「これは腫瘍です」と告げられる。この時点では悪性か良性かわからなかったが、「腫瘍」の言葉に大きなショックを受け帰宅後自宅にてダウン。この後造影MRI検査を受けたりして耳下腺腫瘍があることは確定。オペもしなければならないということでトントン拍子に話が進む。Drから「悪性か良性かはオペで摘出してみないと確定は出来ない」と言われたが、ネットで調べる限り、明らかに悪性の症状の特徴。しかもリンパ節にも転移が見られるとのこと。次第に気分が極度にふさぎ込むと同時に食欲不振になり、うつ状態に。昭和大学烏山病院(精神科)にオペの日まで入院することになる。
▼2014年6月
中旬に右耳下腺全摘、リンパ節廓清のオペを受ける(日付は失念しました)。
また、右顔面神経への浸潤も広がっていたため、温存は出来ず。
残った後遺症としては①右顔面下垂(瞼、口角)②右瞼が閉じない(目が乾燥し、涙が頻繁にこぼれる)③右肩が常に凝った状態(肩が上に上がらない)④顔面神経を取り除いたため、表情が作れず等が残る。
また術後の病理検査で腺様嚢胞癌のステージⅢ(中悪性度)であったことが告げられる。
▼2014年7月~9月
放射線治療(詳細はわかりません) 副作用としては照射部分の脱毛、皮膚炎(照射部位が真っ赤になる)があったが、それ以外は現れず。
▼2014年11月
単純CT撮影によるほぼ三か月ごとの経過観察が始まる。
▼2016年1月
昭和大学藤が丘病院形成外科にて右顔面(口角)のリフトアップ手術。
▼2016年8月
肺、骨への転移が発覚。
▼2017年2月
昭和大学藤が丘病院にて2回目の右顔面(瞼)のリフトアップ手術。
現在に至る。
「耳下腺腫瘍発覚後の心理状態」
2014年5月に耳下腺に腫瘍があると指摘されて以降、メンタルがどんどん下がって行きました。
自分はこんな珍しい奇病なようなものに罹患し、笑顔も作れないほど表情も変わってしまった。これらが自分の心に大きく影を落としました。そしてこんな癌になってしまったのは、自分の今までの生き方に問題があったからだと考え、過去の人生を強烈に後悔し始めました。またこのまま生きていけたからと行って、年齢から言ってもやり直しをするには遅いのではないかと考え、未来に希望も持てませんでした。街中を歩いている人がみんな幸せそうに見え、それに比べ自分の人生は何と悲惨なことかと運命を呪い、いっそ死にたいと何度も考えました。実際に駅のホームに立っていて、電車に向かってフラフラと歩き出そうかと妙な気分を起こすことも一度や二度ではありませんでした。
経過観察中に異常なしとわかっても特に嬉しくありませんでしたし、肺や骨に転移が見つかったときもある種「これで死に近づいた。楽になれる」という気持ちになり、特にショックを感じませんでした。
今まで楽しめていた趣味や仕事もほとんど集中出来ず、楽しくありませんでした。また人と会うことが苦痛になり、コミュニケーションもどんどん自信を失って行きました。
自分にとってはある意味、癌よりこちらのメンタルの問題の方が大きく、どう人生と向き合っていけばいいかわからないこの3年弱でした。
「現在」
肺や骨に転移したこともさることながら、上記の通りメンタルの問題が重くのしかかっていましたが、今月(2017年5月)友人の勧めで内観療法というのを受けました。自分にとってこれを受けたことが非常に大きかったです。たくさんの気付きを得ることが出来ました。特に今までいかに人に支えられ、助けられて来たことが多かったか、逆にいかに自分がそれらの人たちに対してして返したことが少ないかがわかり、良くも悪くも愕然としました。しかしここで気付いたことによって、これからはご恩返しで生きて行きたいということや癌や人生に向き合うことにエネルギーが湧いて来ました。
肺や骨への転移も効果的な治療法がないならば、笑顔で自然治癒を目指そうかというふうに思ってきました。
また転移以外の目下の悩みとして、全摘した右耳下腺周辺や廓清したリンパ節周辺、肩のあたりの筋肉が強烈に突っ張ったり、こわばったりしていて何とも煩わしいのですが(Drにはオペの際の切った箇所の大きさによる後遺症、放射線治療の後遺症が原因と言われていて、完治は困難と言われています)、それともうまくお付き合いをしながら仲良くやっていけたらと思っています。
完全に思いきれているわけではありませんが、今徐々に癌になって良かったかもと思い始めています。もし癌にならなかったらあのまま自己中心的な性格のままで生活を送っていたと思います。生き直しのチャンスをもらったと思っています。
そしてこのTEAM ACCの皆さんとのご縁を大切にし、これからの人生を実りあるものにしていけたらと思っています。
これからもよろしくお願いいたします。
2017.05.28UP
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