ACC体験記 FILE017=Qちゃん

<原発部位>左顎下腺

<STAGE>告知無し

※ただし腫瘍が8mmだっだことからSTAGEⅠではないかと推測

<ニックネーム>Qちゃん

<性別>女性

<罹患年齢>20代後半

<住まい>関東地方

<治療>手術+放射線治療(60gry)

<病院>地方都市の大学病院/口腔外科

<体験記>

2010年 秋~冬

以前からあった顎の下のしこりが痛み出しました(喉が乾くとチクチクする感じです)。

首(リンパ腺だと思ってた)だし、親が心配して病院へ行け行けとしつこいので、とりあえず近所の内科に行き、血液検査をしてもらいましたが何の問題もないとの診断。

安心してしばらく放置しました。

チクチクしても水を飲めば大丈夫だったし…。

その後、歯医者さんで虫歯の治療をしていた時に何となくクビのしこりの話をすると、虫歯からくる炎症とも考えられるから、まず虫歯の治療をしてみてそれでも腫れがひかないようなら大きな病院を紹介すると言われました。


2011年 春

虫歯の治療が済むころにはさらにシコリが大きくなり頻繁にチクチクする様になっていたため、大学病院の口腔外科を紹介してもらいました。

大学病院の口腔外科を受診しても最初は「ネコ引っ掻き病じゃない?」とか「ほとんどが良性だから」というように言われ、検査もひと月に1個づつくらいのゆっくりペース。

しかし、大学病院にかかりはじめて3カ月目に行ったエコー検査の細胞診で悪性の疑いが判明し、それからの先生たちの慌てっぷりが凄かったです。


2011年 6月

自宅にも携帯にも病院から電話がかかってきて、両親と一緒にすぐ病院へくるように言われました。

良性のシコリでも手術すると聞いていたから「手術の説明かな~」と、あまり大ごとに捉えずに病院へ行きました。

まず、1人で診察室へ入ると「両親と一緒じゃないの?」と言われました。

「一緒の方がいいですか?」と聞くと、両親にも一緒に話しがしたいと言われ、この時にやっと、何か変? もしや大ごと? と思いました。

告知や説明をしてくれたのは、今までの診察をしてくれた先生ではなく、穏やかだけど明らかにいつもの先生よりも偉い人(先生)。今まで診てくれていた先生は、その偉い先生の後ろでショボンとしていました。

この日からいきなり主治医がその偉い先生に変わりました。

今まで関わりのなかった先生に告知されて「治療、一緒に頑張りましょう!」と言われても、なんか腑に落ちない感覚もありましたが、何より告知をされて親が泣いてしまったので、なぐさめる側に回った私は泣くタイミングを無くしました(笑)。

それから翌週には入院して、翌々週には手術を受けました。

実は、手術を受けるまで半信半疑と言うか、告知とかもなんだかドラマを見ているみたいで、ちゃんと自分自身のこととして受け止められませんでした。

だってまだ20代だし!

しかも全く聞いたことない「がん」だし!

その後、本当に自分はがんなんだって実感したのは、術後、目覚めてみて、ダイレクトに身体に影響が出た時からです。

私の手術は、左顎下腺の摘出とリンパ腺郭清術。

左耳の下からグルっと首を切開し、一部の筋肉や神経もとりました。

その為、左耳や左頬の感覚が無かったり、口が開かなかったり、下唇が曲がってしまったり、左腕が肩より上に上がらなかったりしました。

これらの手術による後遺症を改善するために開口訓練や腕を上げるリハビリをしました。

入院している患者さんは高齢の方ばかり。

20代なんて本当に私ひとりで周りからは孫のように扱われていました(笑)。

「若いのに可哀想に」と言われることがとても多くて、辛くなることもありました。


2011年 夏

その後、再発予防の為もあり入院して放射線治療(60Gry)を行い、同時に開口訓練などのリハビリも行いました。

私は当時、学生で、直ぐに復帰したい!! 授業料が勿体無い! 同級生に置いてかれる! と焦っていました。

学校の同級生にはがんになったことも話してなかったので(話すつもりも無かったので)首や顔に放射線の影響で皮膚の変色が目立って起きるのが嫌で(バレるから)そのことについて放射線科の先生に相談しました。

先生は放射線の当て方を考えて下さり皮膚に色があまり残らない照射の方法を提案してくださいましたが、皮膚の変色が少ない代わりに味覚障害等が強く出るよ?と説明されました。

話を聞くと味覚障害はいずれ戻ると言うことでしたので先生から提案された皮膚の変色が少ない照射方法でお願いをしました。

確かに味覚は全く無くなりましたが後から戻りました。

口内炎も真面目に口腔ケアをしたためかあまり出ませんでした。

その後、学校にも復学し、いまは働いています。


現在

がんの治療が終わってから5年以上経ちました(今は30代です)。

入院治療中はバタバタしていましたが決まった治療のレールに乗っていたのでどんどん運ばれていく感覚でした。

私が精神的に一番辛かったのは、退院後の日常生活に戻ってからです。

顔が歪んだり、首に大きな傷ができてそれが隠せないためにそればかりが気になってしまい、人目をすごく気にするようになりました…今も少しは気になります。

がんになって、顔まわりに大きな傷も出来て、親からは「もう結婚を諦めた方がいい」とも言われました(笑)。


今残っている後遺症的なものは、顔半分(傷がある方)がむくんでしまって、特に朝は顔や唇が歪むこと。

喉が乾きやすいということ。そのため、常に飲み物を携帯するかガムを噛んでいます。

また、気温が低くなると首の大きな傷のせいで血流が悪くなり頭痛がひどくなります。


しかしながら5年経って再発なく過ごせて居ることは、本当にありがたいと思っています。


体力が無く、学校や仕事に行きたくても行けなくて悔し泣きすることもありました。

出張の次の日は寝込んだりもしましたが、今では残業も出来るし、遠出の出張をしても大丈夫になりました。


出張や残業ができる体力がついたこと…それがとても嬉しいです。

普通の人みたいに働けること…それが嬉しいです。

そして、がん繋がりで色んな人に出会えたこと。

それが今の私の宝です。


がんに罹患した後の人生の方が豊かな気がします。


今は、結婚も諦めていません。

私のリスクも分かった上で、それでもいいよって言ってくれる人と、家庭を持ちたいです。

頑張ります!! 

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