ACC体験記 FILE041=Tsutomuさん

<ニックネーム>   Tsutomu

<性 別>      男性

<住まい>      千葉県

<原発部位>     耳下腺

<STAGE>      Ⅱ → 再発、神経浸潤

<罹患年齢>     50歳

<体験記>

【病院受診までの経緯】

2016年頃から左耳の後ろ辺りにぷくっとふくらみがあることが気になり始めました。

インターネットで調べると粉瘤などの場合が多いような記載が多くしばらく様子を見ていました。

2017年春頃にしこりが大きくなっているような気がして、気になり病院を受診しようと思いました。

インターネット上の記事に稀に重篤な疾患(悪性腫瘍など)の可能性の記載があり気になりました。

しかし、日頃から医者に掛かる必要の無い健康体だったので、どの病院に行くべきか全くわからず、

まず形成外科に行きましたが全く理由がわからず、次に近所の耳鼻科を受診して初めて、

大きい病院に行ってくださいということなりました。


【病院受診から治療まで】

2017年8月下旬

最寄りの大学病院の耳鼻科を受診。良性の耳下腺腫瘍だろうとのことでいきなり細胞診される。


2017年9月上旬

細胞診の結果、5段階の3で悪性の可能性ありの診断。追加でCT検査を実施。


2017年9月中旬

細胞診とCTの結果では良性悪性の判断つかないということで、頭頸外科の先生による再度細胞診を受けることに。


2017年9月下旬

細胞診の結果、5段階の2で恐らく良性だろうとのこと。

手術で取り除くことが決定。腫瘍径約2.7cm。


2017年10月中旬

入院、手術。

手術の時間は4時間くらいで、腫瘍の摘出、リンパ節郭清なし、顔面神経は温存しましたが、顔面麻痺となりました。

家族は手術の説明の際に腫瘍を見せられながら悪性の可能性があると伝えられたようです。


2017年10月下旬

退院。

その後の診察で摘出した腫瘍の細胞は悪性で腺様嚢胞癌の宣告を受けました。

転移無しのステージ2、篩状型(Cribriform pattern)。

断端陽性ではあるものの取り切れていると思うとのコメントがありました。

断端陽性であり次の選択肢としては2つありどうするかの判断を委ねられました。

・そのまま経過を見る

・放射線治療を追加する

また腺様嚢胞癌は放射線が有効なエビデンスが無いこと、放射線をあててしまうと皮膚が固くなり再発時の手術が難しくなることの説明がありました。

判断できない為、セカンドオピニオンを依頼し、東京女子医大と築地の国立がん研究センターへ行くことにしました。


2017年11月中旬

セカンドオピニオンでは、2か所とも腺様嚢胞癌の断端陽性の場合は追加治療として放射線治療を行うとのことでしたので放射線治療を追加することを決めました。


2017年12月上旬

60Gryの放射線治療が始まりました。平日5日間通院、2日休むを約6週間行いました。

私の場合副作用として味覚障害や口内炎は発生せず、照射部分の頭髪が抜けた、皮膚がかさぶたのようになったくらいでした。

その他いつも以上に食欲が沸く、眠くなるなどが生じましたが細胞を再生していたからでしょうか。

それ以降、1年間は3か月に1度のCTと経過観察、1年経った後は半年毎のCTと3か月毎の経過観察でした。


【QOLについて】

問題としては、左顔面麻痺が半年以上続きました。神経は1日1㎜くらいしか繋がらないらしいです。

当初は1日でも早く動くようになるように、動かす練習をし始めたのですが、無理に動かそうとすると本来繋がるべき神経とは違う神経が筋肉を掴んでしまう可能性があり(例えば口を動かすと眉毛も動くなど)、動くようになるまでは無理をしない方が良いそうです。

顔面麻痺による主な不都合は下記になります。

● 瞼が完全に閉じない

・目の渇き

・洗顔、先発時に石鹸水がしみる

● 唇が動かない

・口を大きく開けると内側の歯の部分は開くが唇が動かない為、唇も一緒に噛んでしまう

・麺類などを食べる場合は熱いものは食べられない、唇が汚れ食べ方が汚くなる

・口をゆすぐと水がこぼれる

・半濁音が発音難しい

最大の難敵は目の渇きへの対応でした。11月頃から仕事へ復帰してたのですが、ある日常に目の中にゴミが入っているような感覚となり眼科を受診したところ、瞳に渇きによる傷ができていると言われました。点眼薬と目に塗る軟膏が処方され、寝る時には目を覆うフィルムを貼って寝るように指導されました。昼間目に軟膏を塗ってしまうと、ぼやけて見えてしまうので、ほぼ右目だけで生活する状況となってしまい、ひどい肩こりなどの症状に現れてしまいました。目の渇きへの対応は瞬きができるようになるまでの4か月くらいは結構大変でした。

顔面麻痺が治まってからは、麺類を食べ歩きしたことは言うまでもありません。


【再発発覚から現在まで】

3か月毎の検診と半年毎のCTの経過観察を行い特に異常無しだったのですが、2021年3月上旬に眉毛の動きが悪くなっていることに気づき、その後顔面麻痺の症状がぶり返して来た状況になり、予定を早めて病院の診察を受けることにしました。

以下、経緯の説明になります。


2021年3月下旬

顔面麻痺が始まったことを告げると先生の顔色が変わり、再発の可能性が高いとなり再度CTとMRIで調べることになりました。


2021年4月上旬

CTでは相変わらず画像確認できず、MRI画像で唯一1枚にそれらしき腫瘍が確認できました。

1cm程度の大きさだと画像診断は難しいようです。場所は摘出した耳下腺から頭部への入り口側のところになります。


2021年4月下旬

画像のみでは再発かの確定判定は難しく、細胞診するには大きさが小さい為、1泊入院してCTガイド下細胞診を実施しました。

これは、CT画像を見ながら細胞診を行う方法で、今回はがん細胞を確認でき、腺様嚢胞癌の再発が確定しました。


2021年5月下旬

摘出手術 (病室に戻るまで10時間くらい掛かりました)

左乳突洞削開術、顔面神経摘出(術中迅速診断で陰性確認まで)、神経再建手術を実施。

耳の機能を残してできるだけ摘出したそうです。


2021年7月現在

術後1か月が過ぎ患部の腫れも概ね落ち着き、耳の聞こえも概ね戻ってきました。

左目の調子が日々変わる不自由はありますが在宅での仕事にも復帰し、ほぼ従来通りの生活を送っています。

腺様嚢胞癌は、術前の細胞診での判定が難しいようで、私の場合も最初の手術前の細胞診で腺様嚢胞癌と分かっていれば手術の内容も異なり、再発を防ぐこともできた可能性がありますので、その点はとても残念に思います。


【今後について】

顔面麻痺については経験済ですがやはり左目のケアには悪戦苦闘しています。神経再建の場合は動くようになるまで1年くらい掛かること、顔面麻痺がでてしまってからの再建だと50%くらいしか戻らない場合が多いとのことでした。

毎日顔のマッサージをして気長に付き合っていきたいと思います。

また、過去の論文を見ると再発、神経浸潤の場合は再発、遠隔転移の可能性が高いようなので、食事や生活習慣などの見直しの情報を収集し、できる限りのことは取り組んで行きたいと思います。

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