ACC体験記 FILE014=ヘコさん
<原発部位>硬口蓋
<STAGE>―
<ニックネーム>ヘコ
<ブログ>ヘコザ.ワールド
<性別>女性
<罹患年齢>53歳
<住まい>兵庫県
<治療>2013年11月5日
左上顎〜犬歯から奥の歯、骨ごと切除手術
<病院>県立がんセンター
<現状>経過観察中 再発、転移なし
3ヶ月ごと診察
6カ月ごとCT検査
PET-CT 年1回
<体験記>
異変〜手術前まで
異変を感じたのは2013年9月初めころ、食事中に上顎に火傷をしたような時のザラッとした感触がして、鏡で口の中を見ました。
すると上顎の左側が膨らんでいました。
何だろうと思って押してみても痛みも無く、赤く腫れてる感じでも無いので気にしつつも日々の暮らしに流されてました。
そして10月の初めころ、テレビの夕方のニュース番組の特集で癌と闘うスポーツ選手の話を観ていると(その方は肺がんだっと)私、ヤバいかも!と急に不安になって口腔外科のある歯医者を探して翌日診てもらいました(実は2ヶ月前までかかりつけの歯医者で前歯の治療をしてましたがそこは口腔外科がなかったので。その時は異変の指摘は無かったです)。
そこでは膿んで腫れてるだけなのか、何か腫瘍なのか分からないので大きい病院を紹介してもらい、翌日県立がんセンターを受診しました。
まず始めに膿んでいるだろうから切開して膿を出しますと言われ、麻酔をして治療し、そしてその後の主治医からの話で悪い物ではないと言われ、安堵しました。
腫瘍の疑いの紹介状で来てるので、いちおう切開した物を細胞検査に出しますと言われました。
5日後に抜糸しに行くと、助手の先生にパソコン画面にアンケート出してと言われました。
ドキッとしました。それは初診の時に書いたアンケート
☆告知を受けますか?
☆それは何故ですか?
☆告知は誰と聞きますか?
みたいなアンケートを書いてました。
その画面を見た後、主治医から思いもしない言葉が、
「実はガンが見つかりました。まさかガンが見つかるとはね…」
ここからは当日に聞いたのか、後日、主人と一緒の時に聞いたのか定かでないのですが、このガンは普通のガンの様に変色したり硬くしこりにならない、柔らかいガンで、抗ガン剤や放射線治療は効果があまりないので手術しかない。
この時に腺様嚢胞ガンと聞いてると思うけれど、なかなか名前が入って来ず、同じガンの方のブログに巡り合うまで、ちゃんと名前が覚えられなかったです。
ガンと告知されショックだったのですが、手術と聞いてまず思ったのが1ヶ月後に迫ったコーラスの発表会の事でした。
実は30年ママさんコーラスをやっていて歌う事が大好きです。
手術をすれば歌う事は無理になると言われ、後悔しない様に発表会が終わってから手術する事になりました。
その後のMRI検査で当初の予想より奥に拡がってない事が判り切除範囲が狭まり、傷が癒えて鼻腔に開いた穴を塞ぐように装具(プロテーゼ)を着ければ1年後にはプロの歌手なら無理だけど、ママさんコーラスなら歌えるようになると言われ本当に嬉しかったです。
PET検査でも他にガンは見つかりませんでした。
手術〜術後
コーラスの発表会は病院から外泊で参加する事になり、バタバタな日を過ごして手術当日を迎えました。
連休挟んでて外出や外泊してややこしい患者だったけど、結局麻酔科の先生の説明無しで手術でしました。無事に手術が終わったから良かったけれど、今思えばなんか怖い事です。
入院当日の夕方に患部の写真を撮るからと診察室に。
患部の大きさも測定し、3㎝×3㎝の大きさだと分かりました。
それってステージどのくらいでしょう?
今だに聞いてなくて分かりません。今さら怖くて聞けないんです。
手術は口の中からメスを入れ左上の犬歯から後ろ5本骨ごとを含め、上顎の左側硬口蓋を切除。鼻腔に500円玉大の穴が開きました。
約2時間半。ほぼ予定通りで終了しました。
出血が多ければ輸血するという事でしたが輸血せずに済みました。
術後、上顎全体にマウスピースのような保護具をはめられました。喋りにくいし、食べるのも一苦労。
口が開けにくいうえに口が閉じれない。マウスピースで口の中が狭まってて、スプーンに乗せた流動食も口の中で回転出来ないので舌の上に乗せれなくて、上を向いて喉の奥に流し込むように食べるんですけど、よくむせました。口が閉じれないからボトボトこぼしてました。
食事の時間が苦痛だったけど、これもリハビリだと思って頑張りました。
少しづつ慣れて飲み込むのも上手になりました。
術後10日くらいの診察の時に先生が「口、開けれますか?」と言って指で口を開けた時、顎に激痛が。
「そろそろ口を開ける練習しましょうか。ひと月経つと筋肉が固まって口が開けれなくなりますよ。」と言われました。
1日3回10分間、アイスキャンデーの棒を大きくしたような木の棒を束ねた物を咥えるリハビリを開始。 少しづつ枚数が増え、初めは指2本分も開けれなかったんですが退院する頃には3本分開けれるようようになってました。
今は思いっきり開けれます。
仮のプロテーゼも出来上がり喋りやすくなりました。食事も舌で潰せるくらいになり固形物も食べれる様になりましたが、食べる時は軟口蓋が動くのでどうしても隙間が出来、水分が鼻からポタポタと漏れますが、退院が決まり3週間ぶりに我が家へ帰れることになりました。
そして退院して1ヶ月後の診察で、手術で切除した患部の病理検査の結果を聞きに行くとまだ出ていないとの事。さらに1週間後に行くとガンを取り残してるかもしれないという結果が出たと告げられました。
初めに告知された時よりもショックでした。
何故なら4日前に娘のおめでたが判り、つわりがひどくて我が家に帰って来てたからです。 やっと出来た初孫の知らせに喜んでた時だったし、つわりで寝たきりになってる娘の事が気がかりで、不安でいっぱいでした。
疑わしい部分を3、4箇所を細胞診に。年末年始という事で結果は2週間後。
この2週間は辛くてお正月どころじゃなかったです。
年明けに細胞診の結果を聞きに行きました。
結果は異常無し!安堵しましたが何故?と疑問。
結局ちゃんとした理由は分かりませんでした。
現在
今は3ヶ月毎の診察、半年に1度の胸部CT検査を受けています。
年に1度のPET-CT(これは他のガン検診兼ねて)を来年(2017年)1月に受けます。
プロテーゼも義歯が入ってる物が出来て、さらに喋りやすく食べやすくなりました。でもやはり水分は少しですが鼻から漏れます。
食事時はハンカチかティシュは離せません。
夜は負担になるから外すのですが、朝、着ける時に痛みがあります。これは仕方がない事なんですけどとてもストレスです。
プロテーゼは切除した所を再建してるような物なので、見るたび失った物を自覚する事になるんです。
ちょっと切ないです。
義歯は有るけど土台の骨が無いので噛めません。見栄えの為です。
食べ物の味は分かるけど、風味や食感が変わりました。パサパサした物やモチモチした物は水分が無いと飲み込みにくいです。
着けてる間は口の中の異物感や違和感はありますし、食べる時も大きいスプーンを咥えながら食べてる感じで最初はこれが一生続くのかと落ち込みましたが、少しづつ慣れてきました。
でも普通に喋れますし、歌も歌えてます。
実は術後3ヶ月でコーラスに復帰して、その1ヶ月後の本番に出演できました。
支えてくれた家族や仲間のおかげです!
これからどうなるか不安はありますが、1日も早く新しい抗ガン剤や治療法が開発される事を願いつつ、今を大切に生きていきます。
TEAM ACC この出会いを作ってくれたハマさんに感謝します!
※2016年11月5日にこの体験記をUPしました、手術からちょうど3年が経ちました 。
0コメント