ACC体験記 FILE010=nobuさん
<原発部位>左耳下腺
<STAGE> ー
<ニックネーム>nobu
<ブログ>なし
<性別>女性
<罹患年齢>44歳
<住まい>大阪府
<治療>2014年2月 癌全摘手術/神経移植手術
2014年3月 放射線治療 (30回)
2014年9月 顔面神経麻痺 形成手術(動的再建)
2015年6月 顔面神経麻痺 形成手術(静的再建)
<病院>関西医科大学病院
<現状>2015年9月 肺転移
MRI、CT、診察による経過観察
<体験記>
左耳下腺辺りに痛みを感じたのは、今から15年以上前(2001年頃)です。その時は、常時ではなく疲れた時とかだったような気がします。常時ではないのと、痛みも気になる程度なので、あまり気にも留めていませんでした(これが、耳下腺がんと関係のあるのかは定かではありません)。
2012年頃
食事の時、左奥歯辺りか左奥の歯茎辺りが痛むようになりました。痛むのは、食べ始めだけで後は痛みはありませんでした。また、大きさのある食べ物は、かなり口を開けないと食べづらくなりました。
そこで、歯医者さんに診てもらうと顎関節が傷んでいるんだろうということでした。歯の食いしばりが、強すぎて関節と関節の間のクッションが減っているとも言われました。そして、夜寝る時の歯ぎしりが一番顎関節に力がかかるのでマウスピースを作ってもらい毎晩装着して寝ました (歯ぎしりをしている自覚はなかったのですが)。
その後も、定期的に診察を受けましたが症状は改善されず、歯科大学病院で削ってもらう方法もあるとその歯医者さんから話を聞いていました。顎関節を削るなんて怖く思えたので、別の歯医者さんにも診てもらいましたが、親知らずが上の歯だけ残っているので噛み合わせが悪いのかもと言われ抜いてみるのも1つだと言われました。これも大ごとに思えたのでそのままにしておきました。
人間ドックでも、痛みを申告しましたが歯医者で診てもらっているならそれでいいだろうということで特に診てもらうことはありませんでした。
2013年の夏頃
耳下腺辺りがいつの間にか少し膨れてきて痛みは常時になりました。痛くてたまらないというほどではありませんが、ずっと痛みがあるので気になりました。温かいタオルを当てたり、お風呂に入って左耳の辺りを湯船につけている時だけ痛みが取れてホッとしたのを覚えています。
また、この腫れも以前聞いていた顎関節の(関節と関節の間のクッションのようなもの?)何かが飛び出したのかな?と勝手に思ってもいたので、急いで歯医者に行かなければとは考えていませんでした。
2013年11月の末
歯医者の定期検診の時、腫れと痛みのことを言うとこれは顎関節症ではない、すぐに耳鼻科に行くようにと言われました。
2013年12月
近くの耳鼻科医院を受診しました。耳下腺部分は鼻水や涙も溜まることもあるのでそれかもしれないし、腫瘍かもしれないということで、血液検査とエコー検査をしました。その結果、鼻水や涙ではないことは確かできっと腫瘍だろうと、でもこの病院で調べられるのはここまでなので、大学病院に紹介状を書くのでそこで診てもらうようにと言われました。そして、ネットで調べればわかることなので言っておきますが、治療後顔面神経麻痺を伴うこともあると言われました。
2014年1月
大学病院の耳鼻科受診。 MRIや穿刺吸引細胞診で腫瘍は悪性、腺様嚢胞癌の疑いありと分かりました。PET検査で転移はなかったため、今後の治療として、手術をして腫瘍を取り出す。痛みと大きさから考えても神経に癒着しているだろうから神経ごととり、術後は顔面神経麻痺になると話を聞きました。手術中に細胞の病理検査をし良性と判断されれば顔面神経は温存するが、悪性が良性になった例はないともおっしゃってました。
私は、悪性だとか癌だとかより顔面神経麻痺で仕事ができるのか、外を出歩くことができるのかとかを考えると不安になりました。しかし、顔面神経を残す摘出の仕方であれば、癌も残すということになります。
家族や友人に相談したら生きなあかんと言ってくれたので、手術をしてもらうことにしました。
2014年 2月
手術は、腫瘍全摘手術と同時に切った顔面神経部分を耳たぶ?の神経でつないてもらいました。腫瘍が神経にたくさん癒着していたので長く切ったため、つないでもらっても、実際に動きにつながるかどうかはわからないということでした。術後はかなり顔面神経麻痺の症状が出ていましたが、外に出るといっても病院、スーパーぐらいで会うのも家族や親しい友人だけだったので思っていた程ショックは受けていませんでした(他人からどう見られているか、あんまり分かっていなくてマスクで隠すことはしなかった)。
2014年3月
放射線治療開始。腫瘍を充分にとったが、残っていてはいけないので完全に無くすためにも60Gy30回受けました。
毎日、通院して受けました。初めは 体調に異変は感じなかったのですが、一日中体がだるくなってきたり、髪の毛が指ですくとぱらぱらと落ちたり、食べ物は、少し辛いと飛び上がるような辛さに感じたり、お寿司のバッテラなどは脂を食べてるような、極端な味覚になりました。しばらくすると、 何食べても同じ味に思える様になりました。また、普段、食べないらっきょがすごくおいしく感じられ食べ過ぎてお腹を壊したこともありました。
このような症状は、放射線治療が終わると無くなりました。ただ、放射線治療前はコーヒーが好きでわざわざ豆をひいて、1日に何杯も飲んでいたのに治療中コーヒーの匂いに気分を悪くして、それ以来なぜか、今もコーヒーが飲めません。
放射線治療が終わるGW開けを仕事復帰の予定にしていましたが、この顔で人前に出て仕事をすることに自信が持てず、復帰を9月にしてもらいました。
その間、耳鼻科の主治医先生が形成外科の診察をすすめてくださり顔面の治療をすることになりました。
2014年9月
顔面神経麻痺への筋肉移行手術と、太ももから筋膜移植手術をしました。元に戻ることはないが、リフトアップすることで見た目が少し変わる手術です(実際に少し引き上げられた)。
2015年1月
仕事復帰。復帰の決心は、とても複雑な気持ちてした。これ以上休んだらどんどん社会に出られなくなるという思いと、こんな顔で受け入れてもらえるのかという不安と入り混じって悶々と悩みました。ぐちぐち言っている私に、母の「大丈夫やって。美人に産んどいたから」という言葉に気がぬけたのと母親は強いなあと感心して吹っ切れました。
復帰したら、乗り越えて良かったとホッとしました。
2015年6月
前回の形成外科手術の続きの手術をしました。さらにリフトアップのための手術です。前回同様、元にはもどらないので左右対称にはならないが少しバランスがとれてきたと思います。しかし、頬はいずれは下がってくる(特に左は筋力がないので)。
腺様嚢胞癌は再発、転移をしやすいのでMRIで頭頸部をCTで肺部分を定期的に検査をしてもらっています。
2015年9月
CT検査により肺転移発覚。同病院の呼吸器腫瘍内科を受診。放射線治療は、多発性のため見つかるたびに照射すると正常な部分まで痛める箇所が増える一方であること、抗ガン剤治療も功を奏さず副作用の方が大きいこと、手術は多発性であるため今の腫瘍の大きさなら、さわって他の正常な部分まで弱める必要はない(元気な機能は残しておいた方がいい)ということでした。主治医先生との総合診断により、経過観察でいこうということでした。
実は、私の肺転移が見つかる前の7月、ハマさんが転移したというブログの記事を読んで、こんなに早く転移するなんて、しかも東京の大きな病院でみてもらってるのに治療することかないなんてと思うとショックでショックで、しばらくブログも見ることがてきませんでした。そうこうしているうちに、自分も転移が見つかり再びあわててハマさんのブログを読み返しました。
そこには、私の主治医先生のご意見と同じことが書いてあったので安心しました。
私は、主治医先生をかなり信頼していますし、ハマさんも同じ診断だったためこのままでいいと思っていたのですが職場の人や友人がこんなに早く見つかって何にもしないなんておかしいからセカンドオピニオンを受けることを勧めたため、受けましたが同じ診断でした。
その後も検査や診察を続けています。肺の腫瘍は、検査のたびにほんの少しではあるけど大きくなり数もほんの少し増えてはいるけど、咳き込むこともないし普通で元気です(でも、複雑な気持ちです)。
⦅副作用について⦆
顔面神経麻痺で再建手術をしてもらったとはいえ、生活しにくいことはあります。
● 写真が苦手。最近は、顔のどこに力を入れて入れたらまだバランスよく見えるかを鏡で見ることもある(形成外科の先生は鏡で一瞬の表情作りをよく研究するようにとおっしゃいました)。それに、みんなで写真を撮るとき断ると場の雰囲気が悪くなりそうで引きつりながら写ってます。
● 口が大きく開かないのでカレースプーンのような大きなスプーンは使えない。ティースプーンでは小さすぎて時間がかかりすぎる。長細いスプーンは使いやすい。 食べる時、小さく箸などで切って口に入れる。大きいまま、無理矢理入れようとするが無理なことが多い。
● 食べるのは時間がかかるが、仕方がない。友達に「食べるスピードが遅くなっても食べる量は変わらへんなあ」と言われました。長い時間付き合ってくれる友達に感謝です(でも、だんだん早くなってきているような気がします)。
● 麺類は食べにくい。すすれないので蓮華にのせて噛んで食べる。蓮華がないうどんやそばは噛み切る感じ。パスタは巻くので食べやすい。自分から麺類を食べに行こうとは言わなくなったが誘われると行く。美味しいので食べて良かったと思う。
● 飲み物はペットボトル、缶のものはストロー(常時、ストローをカバンに入れている)。して口がひろい水筒やコップは飲めるが形にもよる。ごくごく飲めないので、薬は水を何度も飲む。薬の数が多いと目を白黒させながら飲んでいる。
● 笑ったり大きな声を出そうとすると表情のバランスが悪い。自然な表情はつくれないので面と向かって、話をする時、口元を手で隠すことが多い。それでも、笑うし大きな声も出すし、しゃべる。
● 左の瞼が瞬きしても完全に閉じきっていないため、乾くことが多い。意に反して左だけ涙が出ることがある(ましになった)(目を保護する目薬を使っている)。コンタクト(ハード)をしているが、左だけよく濁る(瞬きすることで、コンタクトは潤いを保つが瞬きがゆるいため完全に潤わずきれいにならないそうです)。特に午後、洗浄して付け直すことが多い。
⦅現在⦆
がんになって、いろんなことをくぐってきたが関わる方々に感謝しかありません。自分一人では生きていけないことも改めて痛感しています。
また、完治することはないけども、うまく付き合って(そう甘くはないかもしれないが)、私が私らしく生きていくために、何かに集中したり楽しんだり元気に生きたいと思っています。
このハマさんの立ち上げてくださったTEAM ACCを通じて仲間と繋がれている感じも嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
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